ノンバンクトップのインタビュー記事で「円高になると都心の不動産は急落するだろう」と書かれていた。だから今は買いどきというより「売りどき」だと。
グローバル金融は政策金利や景況、税制などを見ながら今どの国に投資すべきかを見極める。アベノミクスでは一定の効果があったが、インフレ目標2%は容易でないとの見方が大勢のようだ。だから、急激な円安でアジアの富裕層が東京の都心の不動産を買ってはいるが、円高になると売りに出すだろうということである。
投資家の視点でみると新興国の成長が望め、先進国では金融緩和が恒常的に(異次元緩和が順繰りに)行われることにより、運用方法を大きく間違えさえしなければ資産は着実に増やすことができるだろう。中長期的にそれを自国市場に呼び込めるかどうかで業種の展望は分かれる。その意味で昨年来注目されている都心の不動産は今が正念場だともいえる。
為替の動向にさほど左右されず、住みやすく、安定した収益性も期待できる。日本の個人投資家を中心に、アジアの投資家からも同じ評価を得ることができれば、コレクションとして認められる。資産性だけでなく、東京のマンションは「緻密に作られていて質が良いと高評価」(三菱地所レジデンス小野真路社長)。新耐震なら新築も中古も問わない、くらいのオーダーが集まる市場になってほしいものだ。そうすれば為替の動きに一喜一憂することもない。都心の高額物件は、住宅ローン控除をはじめとする税制優遇等に左右されるそれ以外のマンションマーケットとは完全に切り離して考えなければならない時代に入った。