新築分譲マンションはあいかわらず青田売りが主流。工事中に販売をはじめ、竣工するまでに売り切る。完成在庫のない状態を良しとする。業界の共通認識だ。
一方、繰り返し触れてきたように、マンションの資産性は、建物についていえば「外観デザイン」と「エントランス」に因るところが大きい。建物が見えたときの第一印象、そして足を踏み入れたときの雰囲気がイメージを決定づけるということ。
買い手の立場から見た場合、この2つの事実は矛盾しているといえる。なぜなら、資産性に着目して物件を買いたいのに、大事な部分をパースでしかチェックできないから。これは売り手の立場も同じ。外観と共用部の高級感を意識してつくっているにもかか わらず、それを販売促進に活かしきれない。
青田売りはカスタマイズ性に長けていることから「顧客志向」に合致した販売手法であると言ったはいいが、プチバブル下でもその思想を押し通したデベロッパーは何社あっただろう。結局は、青田売りを選択するのは地価下落や競合対策として少しでも早く資金回収したいだけ?と思われても仕方がない。そんな業界事情を鑑みれば、新築マンションは竣工時が一番見応えがあるから、急いで売る必要なないという考えはわかりやすい。何より「一貫している」ことがメッセージになる。具体的な戦略にはいろんな意見がつきものだが、少なくとも住友不動産の場合、経営戦略が明解に映る。(左上の画像はイメージ)