経営者の思い

最終的にいくらで売るかを決めるのは「売主の事情」

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不動産の値段は「金融(金利など)」「税制」「地域内の需給バランス」といった市場環境に起因するものと「立地」「建物の質または付加価値」「管理の状態」など個別物件に起因するものによって決まる。が、それ以外に「売主の事情」がある。これが不動産特有のプライシング要素である。

仲介大手のトップ曰く、ここ数年増えた売却理由が「離婚」だという。売る理由は個々それぞれで、一概に「早く売りたい」や「高く売りたい」に紐づけられるものでもないが、実際、仕入れのプロは「なぜ売るのか」を必ずヒアリングする。

新築マンション購入検討者で「なぜ売りたいか」を聞く人はいないだろう。売主は事業としてやっているからだ。とはいえ、新築マンションの価格設定も「売主の事情」が無関係かといえばそんなことはない。新築価格高止まりの背景には、「大手寡占化が進んだから」とする論調がまさにこれに類するものだ。

しかし、もう少し事実を詳しく見る必要があるだろう。大手イコール安泰ではない。経営の安定性を詳しく見れば、現場で起こりうる現象がイメージしやすいのではないだろうか。

上のグラフは首都圏マンション供給上位4社(住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)の純資産合計(一部親会社又は持ち株会社)。サブプライム問題が表面化しはじめたときからちょうど10年。この間、4社の純資産は約2兆3351億円増えた。これは首位の三井不動産(約2兆569億円)を超えるスケールである。

今後、国内の再開発や国外の開発など大型投資をしていく中で、在庫圧縮を急ぐ局面が全くないとは言い切れない。が、かつての半分以下の供給規模(2018年予測38,000戸)で、人口増が続く首都圏において「ブランドイメージ毀損につながりかねない値引きを優先する」とは思えず、またそれ以上に「現場のモチベーションに混乱をきたすような判断をする」とも考えにくい(無論、時間を有効活用することで利益の最大化を見込めるエリアに限る)。

そして、何よりこれが重要なのだが「買っては売る回転型事業」から「安定成長の在庫調整型」へとビジネスモデルを変えていく(もしくは混在させる)のだとすれば、自ら相場が値崩れを起こすような売り方はしないと推察する。ただこれも政府(税制施策)と日銀(金融施策)の体制・方針がともに盤石という、ここ数年同様の経済環境が前提にはなる。

 

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