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迷子になった!? オール電化住宅

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とあるマンションの記者発表会。600戸を超すその大型物件はオール電化を採用していた。案の定?質疑応答で記者からこんな質問がでた。「こういうときにオール電化はどうなんですか?」 主催者の答えはこうだ。「おっしゃりたいことはわからなくもないが、なんでもかんでも電気を否定するのはいかがなものでしょう」 気を遣って答えたのだと思うが、これではまるで禅問答のようだ。

質問の意図を探ろってみよう。いろいろと想像できるのだが、まず思い当たるのが、停電したらすべて台無しという危惧である。しかも、これにはインフラが寸断される大災害時と計画停電のような事態との二通りが考えられる。前者はおそらくガスも使えなくなると考えるほうが自然だから電気だけが分が悪いとはならない。復旧が早いのは電気なので、逆に安心なのではないか。問題は後者だ。しかし冷静に考えればガスでいかせるのはせいぜいコンロと給湯くらい。エレベーターや給水ポンプはガスでは動かない。したがって、数時間と事前にわかっている計画停電ならカセットコンロひとつ用意してあれば、不便さにそう差は出ないはずである。

次に、電力だけに頼ることが良くないといった見方がある。この度の原発事故と電力危機が浸透させつつある価値観だ。しかし、これも冷静に考えれば、原発は「発電手法の議論」であって電力の是非を問うものではない。節電も、要はピーク時の対応が問題なわけで、電気を使うこと自体に後ろめたさを感じされる今の風潮は、異なった論点が混同してしまっているように思えてならない。

そしてさらにこんな意見も想像できる。ガスをわざわざ電気に変えることはないといった考え方である。だが、こうなればもはや好き嫌いの次元に近い。例えば、高齢化の著しい日本に、安全なオール電化住宅を選択肢として用意すべしとする意見に反論はあるだろうか。

とはいえ、実際、どのくらいオール電化住宅がガス併用住宅にくらべて電気を使うことになるのか。まずは直接電力会社に問い合わせしてみた。ところが、違いがわかるデータは存在しないと即答された。唯一あるのは、オール電化住宅53万世帯の月額電気料金が平均12,225円の数字だという。これにはさすがに愕然とした。各種データの不在もさることながら、ただひとつの数値もどうも営業用の偏った数値にしかみえないからだ。通年ベースの平均なのか、特定月のものか、家族数や㎡数などの前提条件もいっさい不明だという。

勝手な想像で申し訳ないが、12,000円台なら、おそらく冷暖房のいらない季節の月の値ではないのか。もしくは世帯人数の少ないサンプルの集計か。いずれにしても、電化住宅を推奨しておきながら、公開できる情報がこれではあまりにお粗末というしかない。電力会社は常日頃から、オール電化住宅の実績データをディスクローズしておくべきではなかったか。

ついでといってはなんだが、オール電化住宅の定番ともいえる「エコキュート」が、断水時の給水タンクとして使えるその操作方法をハウスメーカーに確認した。操作は本体にも記載されており、いたって簡単のようだ。熱湯に近いお湯が出るというから、いざというときは何かにつけ役に立つだろう。

つらつらと書いたが、言いたいのはこういうことだ。住まいの作り手は、熱源の選択に対し、自ら論をたて説くべきである。顧客の疑問が解消され、長期的な視点で選択できるよう、正確な情報提供を期待したい。マンションの電動カーシェアリングはよくてオール電化は様子を伺う、そんな判断がもしあるならその根拠は何だろう。阪神淡路大震災以後、関西で急速に普及したオール電化住宅が、このままでは行き先を見失いそうだ。

「エコキュート」のお湯の取り出し方

 

 

 

 

 

 

 

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