News トピックス ブログ 不動産ジャーナリスト会議

同潤会の歴史から、復興における住宅問題を考える

2012/03/05

本日、日本不動産ジャーナリスト会議の研修会があった。講師に計画工房主宰、村上美奈子氏をお招きして、「同潤会の歴史から、復興における住宅問題を考える」と題した講話をいただく。村上さんが数名でまとめた著書「同潤会大塚女子アパートメントハウスが語る」は2011今和次郎賞を受賞している。

今和次郎賞は、そのHPで「日本生活学会は、生活学の提唱者である初代会長今和次郎氏を記念し、生活研究の振興を目的として今和次郎賞を制定する」と記載している。毎年、1~3の論文や著書が受賞する。対象者のない年も多く存在する。前年にあたる2010年も該当者がなかった。

講演の内容は、関東大震災の復興を目的に日本初の鉄筋コンクリートの集合住宅として建設された同潤会アパートの歴史や建物の図面の説明、時代と共に入居者がどう移り変わってきたか、そしてそこでどんなコミュニティが形成され、世の中に影響を与えてきたかといったこと、保存活動が実らなかったいきさつも話された。都市居住における集合住宅の礎となった建物は老朽化のために取り壊されただけでなく、東日本大震災における復興住宅建設の際にもその知見がいかされておらず、それはジャーナリズムが、建築史が、当時の設計技術を駆使して作られた集合住宅でじっさいに人が集まって暮らした現象やそれが社会的に与えた影響そのものこそが「建築の価値」であるとした記録および事実に基づいた理論を打ち立て引き継いでこられなかったからではないだろうか、ということであった。実際、様式以外の理由で残存が許された例はないということだった。

しかし一方で、山手線の内側の地下鉄の駅前の土地に、耐震強度に不安が残る、しかも道路にギリギリ目一杯建てられた古い建物を残しておくのはどうかとも思った。それが、女性の社会進出が始まったばかりの頃で、第一線で活躍していた草分け的な存在の方々が居をともにした思い出深い場所であることはわかったが。だからといって、保存こそが最善だとまでは思い至らなかった。ただ、たしかに、集合住宅の空間的な特徴が人の生活や社会に与える影響の大きさなどは、体系立てては存在しないのだと気付かされた。

【2017年 この春の注目マンションプロジェクト】

-News トピックス, ブログ, 不動産ジャーナリスト会議
-, , , , , , , , , , , , , , , , ,