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「築地明石町」

2017/02/17

岩田専太郎は、挿絵で知られた画家である。その美術館「金土日館」を訪ねたのは2年ほど前。文京区の住宅街に「ひっそりと佇む」瀟洒な建物だ。

週刊文春、松本清張連載途中1974年死去(ウィキペディア参照)とあるので、子どものころ見た記憶は間違ってないだろう。無性に懐かしい気にさせられた。「湯上り」「スカーフ」「くれない」など代表作のカードを買って帰った。

世界的に有名になった日本の浮世絵は過去、つまり江戸時代の芸術である。自分自身は学校で教えられ、教科書で見た歴史の一部だ。浮世絵絵師の影響をどれほど受けたかはわからないが、明治維新、関東大震災、戦争とその後の激動の時代を生き抜いた芸術家の作品とかろうじて接することができたのは貴重な経験であると思っている。哀愁漂う一瞬を切り取ったような作風は、刹那に生きざるを得ない当時の世相を反映しているのではないかと勝手に解釈している。

鏑木清方は岩田専太郎と同時代の画家である。代表作「築地明石町」では帝国美術院賞を受賞。斜め後ろを振り返った婦人の一瞬をとらえ、着物の色合いも美しい。一度、本物を見てみたい。明治から大正、昭和初期にかけて、日本を代表する画家や作家は都心に住んだ、そして都心の街の気配をさまざまに作品に取り入れた。都心には彼らを引きつける魅力があったのだ。地域の特徴を語る際「文人が愛した土地」などとよく用いられるのだが、受けたものを十二分に還元している。

 

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